「女性は運動しても太くならない?」筋肉太り、ある派なし派が対立する理由

2018/08/14 2016/05/22

「女性は運動しても太くならない」というのは、ダイエット界隈において賛否両論議論の絶えない話題です。
「筋肉増量によって太くなる」ことを「太る」ととらえてしまうことについては疑問もありますが、「とにかく細くなりたい!」という方にとって、筋肉すら細さの障害であるというのは十分に納得出来ます。

しかし、なんとなく納得がいかない方の気持ちもわかります。「運動したら太る!」というのは「運動から逃げるための言い訳」にも見えますし、「脂肪より容積が小さく、中々付きにくい筋肉でそんなに太くなるの?」という疑問がわくのも当然だと思います。

そこで、双方の意見を参考にしながら色々考えてみたところ「どちらも正しいことを言っているがかみ合っていない」というポイントを見つけたので、自分なりの考えを交えて紹介したいと思います。

脂肪の減少容積 < 筋肉の増大容積 なら確実に太くなる

私はトレーニングの前には必ずアミノ酸(BCAA)と糖質を摂取しています。理由は、トレーニング中に筋肉の分解を防ぎ、より高い筋肥大を狙うためです。しかし、十分な栄養を身体に蓄えてから運動している以上、筋トレ中にそれ程多くの脂肪が分解されることはありません。栄養が十分に足りているのに、わざわざ身体の組織を分解してエネルギーを作り出す必要がないからです。

つまり、こういったトレーニング(運動)だけを行っていれば、高確率で「脂肪の減少容積 < 筋肉の増大容積」が起こることになります。

ということは…

理論的に「運動によって太くなる」はありえるということです。にもかかわらず「女性は運動で太くなったりしない、そんな簡単に筋肉はつかない」と言われれば反発したくなる気持ちもわかります。

女性は筋肉がつきにくい

しかし、一般的に女性は筋肉がつきにくいというのも事実です。筋肉の成長には男性ホルモン(主にテストステロン)が関係し、女性は一般的には男性ほど男性ホルモンの分泌が行われません。男性は1年間に10kg程度、女性は1年間に5kg程度の筋肉をつけることが可能と言われていますが(食事・トレーニングを徹底すると、その倍くらい可能との研究成果もあります)、それはウェイト系のハードなトレーニングを行った場合です。

筋トレ界で有名な石井直方教授(東京大学大学院総合文化研究科教授)の発言でも有名ですが、「腕立て伏せを例え100回行ったとしても、筋肥大のための筋肉への刺激はラストの5回か10回」。ウォーキングやランニング、軽い腕立てや腹筋くらいで目に見えて太くなるほど筋肉をつけるのは非現実的です。

筋肉のつきやすさも関係する

女性は筋肉がつきにくいと言いましたが、稀に筋肉がつきやすい方もいます。

筋トレの効果を上げるためのサプリに「テストステロンブースター」というものがありますが、テストステロンの値が高い人は筋肥大が起こりやすくなります。これは男性に限った話ではないので、筋肥大が起こりやすい体質の女性も存在するということです。

また、本当かどうかはわかりませんが、胎児の時にテストステロンを多く浴びると「人差し指よりも薬指が長くなる」という話があります。そして、そのテストステロンの影響からか「人差し指より薬指の長い人は男性的」「筋肉がつきやすい」という話もあります。筋肉がつきやすいと思う方は確認してみてください。(私は薬指が爪半分くらい長い)

(ハードな)運動によって太くなる、運動によって(簡単には)太くならない

見出しの通りなのですが、「運動によって太くなる」論争が起こっている時の双方の頭の中にあるのはこれだと思います。

運動によって太くなる派:「…(ハードな)運動で太くなるのは事実なのに!」
運動によって太くならない派:「…(軽い)運動で太くなるわけがない!」

運動で太くなる宣言の方が実際にハードな運動をしてるかどうかはまた別の話、運動で太くならない宣言をしてる方が相手の運動レベルを知ってるかもまた別の話ですが、「正しい事を言っているのに!」という意識が双方にあるのではないかと思います。

「週に3日20分散歩してたらもう足がモリモリマッチョ。運動はしない方が良い。」みたいな人がいたら私もツッコミたくなりますが、当人には当人なりの努力があってその結論に達している方が多いのではないでしょうか。

「腕立て伏せを例え100回行ったとしても、筋肥大のための筋肉への刺激はラストの5回か10回」ですが、最高で5回しか腕立てが出来ない筋力の方が5回腕立てを行えば効果は期待できます。それなりに太くなってもおかしくはないでしょう。

しかし、食事管理やハードなトレーニングで身体作りをしている方からすれば、5回の腕立てで「太くなって困る」と言われても言い訳にしか聞こえないというのも事実でしょう。「筋肉で5cm太くなったとして、落とすべき脂肪がまだ20cmはあるんじゃないの?」と考えるのも自然なことでしょう。

どちらの言い分も間違ってはいないと思いますが、それぞれの持っている情報が違い過ぎる限り、双方が納得するのは難しいのではないかと思います。

そうは言っても多分脂肪落とした方が良いよと言う話

最後に、私の個人的な意見を書いて〆ます。

筋肉によって太くなるのは事実ですが、筋肉でムキムキの人はあまり「デブ」と言われません。「マッチョ」と言われます。自分が「マッチョ」を目指すかどうかは別として、筋肉がついたことで「デブ」に見えるというのであれば、それは脂肪が多すぎるということです。脂肪が少なければ「マッチョ」に見えるはずです。

そして、筋肉を太くするためには「栄養の摂取」が必要になります。ボディビルダーなど、ボディメイクの専門家の人達でも「痩せながら筋肉をつける」ことは困難で、増量期と減量期をわけるのが一般的です。男性であっても、食事量を減らした状態で筋肉を増やすのは困難です。「筋肉によって太くなる」ことは実際あるのですが、ダイエット中にそれが起こっているのであれば、それは栄養管理の方に問題があります。

「筋肉をしっかりつけて、健康的な美しい身体を手に入れたい」
「筋肉量も出来るだけ少なく、誰よりも細くなりたい」

人それぞれ、目指す姿は異なると思いますが、自分がもし「マッチョ」ではなく、且つ「太っている」と思っているのであれば、まずは脂肪を減らすことに集中した方がダイエットの成功率は上がると思います。

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